最終日。
福山エリアを回って旅を終える予定だった。
「だった」…………
福山駅からバスに乗って途中まで行こうとしたら降車駅を間違って早まって降りたため(別の「八幡神社前」だった)、20分以上歩いた。
車社会ゆえ、人が歩くことを想定されていないであろう道路(歩道がなかったり、側溝がむき出しだったり)があるので、徒歩で行く人は気をつけて欲しい……。
この情勢下、「いま交通事故に遭ったら受け入れ先がないので死ぬ(意訳)」という情報を得ていたので、我々はこの3日間「事故ったら死、転んだら死」の気持ちで、安全を第一に過ごしていた。THE BEYOND第2クール第24話(仮)を見届けるまで生きねばならない。
なぜか裏参道ルートを案内された。
写真ではあまり伝わらないが、急勾配。
ありがとう、蒼穹……。
前日まで雨予報だったのに……。
「剣司と咲良の結婚式そのままだ……」
「幸せそう…………(幻覚)」
「里奈ちゃん……剣司のこと好きだったのに……」
「いやでも彗くんでよかったよ……」
「彗くんは老けてもイケメンだよ……」
「すっかり陰のある男になってしまって……」
罰あたりな無責任発言をしながら石段を降りるな。
ありがとう、鈴村神社……。
島民マップに頼れるのも、ここまでである。
ここからさらに過酷な旅が始まったが、位置情報が洩れそうなのでとにかく坂道が辛かったことだけ記しておく。
車に乗るにしても道が狭いし、自転車で上れるような坂でもない。
最適解は恐らく二輪である。原付の免許、取るか……。
竜宮島中学校のモデル。
お休みの様子だったが不審者の気持ちになって辛かった。
西尾商店のモデル。
そして滅茶苦茶さまよって、最後に楽園のモデル地も見つけた。
達成感に満ちていた。
これで心置きなく帰れる……。
昼食。
尾道焼き。
尾道焼き……???
福山を回っていたはずなのに、なぜ尾道で昼食をとっているのか。
福山駅発新幹線の時間は15時過ぎである。
さまよい果てて楽園を見つけた時点、大体11時半くらいである。
正気の人間なら福山駅に戻り昼食をとって、新幹線を待つだろう。
だがこの旅の間、オタクに正気の瞬間など一瞬もなかった。
前日の夜、狂いきったテンションでカフェしましまにもう一度行こうと決意していたのだった。
なんで?
▼狂ったテンション
足跡ノートを見るのを忘れたから。
2日目、我々は1階席に座ってしまい、ノートを見ることができなかった。
ノートが見たかった。同胞の気配を感じたかった。
ただそれだけのために、再び尾道へ向かい、あの苦しみを味わうことを決意した。
普通に蒼穹パフェ(復刻版)も食べたかった。
~言い訳~
本当は前夜「とりあえず神社に行って、余裕があったら学校とか楽園とか探せたらいいね」くらいのテンションだったのが、現地に行って何故か本気で探し始めたせいで予想外に時間がかつかつになってしまった。
最後の苦しみ。蒼穹パフェ頼むんじゃなかったのか
「甲洋のティラミスと操のフロートでお願いします。」(淀みのない口調)
前日ぶり2回目にして、コラボメニューを注文することに対する抵抗感が少なくなっており、自分自身に恐怖をおぼえた。
別に操と甲洋のオタクだと思われてもいいや。公式でニコイチになりつつあるし。円盤ジャケ絵だし。特典書き下ろしだし。(最悪な開き直り)
時間に余裕がないという状況がそうさせたのだと信じたい。
福山の聖地から東福山駅までかなりの距離を歩き、電車に乗り、尾道についたのが13時頃。(もうおかしい。2時間後に新幹線が出発する。)
※福山ー尾道間にかかる移動時間は20分程度
地元民のごとき顔で前日に何度も通った商店街をほぼ無言早歩きで突き進み、尾道焼きを食べ終え、胃を休ませる間もなく、カフェへ向かったのが13時半頃。(鉄板焼きへの執念も捨てることができなかった。)
時間がない。(当たり前)
ホテルで預けている荷物を受け取る時間、電車の出発時間、カフェはわりと商店街の奥にあるので駅までの移動時間、これらを踏まえると遅くとも14時10分頃には店を出なければならなかった。残された時間は30分~40分程度。
同胞の足跡に目を通しつつ、重みのある甲洋とショコラの絆ティラミスを操inドライツェンの紅いフロートで流し込んだ。
そして我々の最後の時間が始まった。
――カチャン(フォークを置く音)
「書かなきゃ」
「爪痕残さなきゃ」
「まだ8分ある」
「FORTUNESに苦しめられたこと書いておかなきゃ」
「痛みを共有しなきゃ……」
「『FORTUNES、怖かった……(遺言)』」
「苦しいよ……」
聖地からの最後の祝福を受けながら、必死にペンを走らせるオタク。
還ろう…………居るべき場所へ。
商店街をまた早歩きして駅へ戻り尾道に別れを告げ、福山駅へ向かい、荷物を引き取り、休む間もなく新幹線に乗った。
出前浜で夕日を見てキレたのが何日も前のことのように感じた。
こんなに気が狂ったまま情報量が多い日々を過ごしたのは久しぶりだった。
パン屋航路以外、後悔はなかった。やりたいことをやりきってしまった。
というか、出前浜を2回キメるは予定はなかったし、配信であそこまで苦しんで発狂する想定もしていなかったし、楽園のモデルに辿りつけるとも思っていなかったし、しましまに2回通う予定もなかったので、やろうと思っていた以上のことをしてしまった。
念入りに計画立てたりしてなくて逆に良かったな。(?)
はっきり言って死ぬほど苦しかったがそれと同じくらい死ぬほど楽しかった……。
オタク、苦しくてもやめられない……。
悲しい
今なら分かる。たとえ苦しみ満ちた生でも僕は存在を選ぶだろう。
もう一度、お前と出会うために……。
(無印最終話、総士のラストポエム)
この気持ち、痛いほどに分かってしまう。
この酩酊感と充足感に出会うためなら何度でも苦しみに満ちた生を選びたくなるよ。
聖地巡礼、本当に祝福だった。(???)
【総括】
・すべての聖地を巡礼するなら鞆の浦、尾道、福山エリアに分けて2泊3日で行くのが現実的である。
・一騎と総士のオタクは鞆の浦に行くなら絶対に仙酔島(出前浜)にも行くべきである。
・出前浜でもっと気が狂いたいオタクは日没の時間帯にも行くべきである。
・尾道はロープウェイに頼るべきである。(上りだけでも)
・福山エリアは徒歩は厳しい。(発狂した状態で気合いがあれば無理ではない)
一騎と総士のオタクには絶対に苦しんで欲しいので、出前浜に行くために必要な情報を載せておく。(2021年1月現在)
鞆線(福山駅前バスのりば5番)
「平成いろは丸」
www.city.fukuyama.hiroshima.jp
ありがとう聖地……。
約1年前の無料配信を見て心を乱されている自分へ
一過性のものだと思っているだろうがお前は1年後も聖地を回ってより一層狂っているよ。
この流れで大晦日まで狂い続けて年を越したオタクであった。
-完-